今
この世には今しかない。過去も未来も存在しない。今自分が何を思うのか。
自分は過去にも未来にも生きられない。
未来のことなぞわからない。計画すれば未来が思うように行くほど自分の演算能力は高くない。
今この瞬間に死ぬかもしれない。
殺人鬼が家に来るかもしれない。突然何かの発作が来て即死するかもしれない。
そんなすべての死の可能性を否定できない。
そんな完璧なバランスで自分の生が保たれている。
しかし、私は未来を考えることが出来る。
自分の言動、自分の空想、全てに未来を考えることが出来る。
私は苦しみを味わいたくない。苦しみを味わう事が怖い。
だから未来を考える。リスクヘッジをする。
自分の幸福を未来に置こうとする。
それでも私は死の可能性を否定できない。
いつでも死ぬかもしれない。
未来の幸福の為に何かを積み上げることに何の意味があろうか。
私には確証がない。
積み上げたところで、その幸福を勝ち取るという確証がない。
今この瞬間に死ぬかもしれない。
私は今にしか存在しない。
過去の私はただの記憶。
未来の私はただの可能性。
私は死を感じる生き方をしていない。
全てが安全安心。温室育ち。
だからこそいつも自分の後ろに死がついてきていることを忘れてしまう。
しかし大事なのは今だ。
今自分が何をしたいか。今自分が何を嫌うのか。
今しか存在しない。未来も過去も存在しない。
今は今しかない。二度と来ない。
全てが初めて
今日がもう来ないことを知ったのも初めて
林檎飴が紅い
そして私は生きている!
今日現在を歩いているんだ
何もない私だって融け合っているのさ
嗚呼
(東京事変:御祭騒ぎ)